娘が中学3年生の時に初めて一人で参加し海外に。
その行先はニュージーランドでした。前にもお話しましたが、私たちが住んでいた東京都江戸川区には、中学2年生から高校3年生までが参加できる「青少年の翼」という区が主催するプログラムがありました。
当時は学校から数人という形で選ばれ、そのあと江戸川区の面接やエッセイにより最終的に1つの国に20名が選出されました。今は、少し形が変わっているようですが。
娘は中学2年生の時に応募しましたが残念ながら選出されず、中学3年生で選出されました。
しかし、中学3年と言えば受験ですよね。娘も例外なく受験期真っ只中にニュージーランドへ行くことになりました。期間は夏休みでしたので、みんなが受験に向け勉強を本格化するころ彼女はそのプログラムに夢中になっていました。
母として、これはどうなのかと思いつつも、受験よりもしかしたら大切な体験ができるのかもしれないと思い、彼女の意思を尊重しました。実際、帰ってきたときにはフワフワしていて、まるで受験生という感じはありませんでした。私は、英語を教えていたこともあり同じ年齢の子どもたちと接していたので、娘とほかの中学3年生との間の壁も少々感じました。
実際にニュージーランドへ行くことになり、準備が始まりました。
期間は12日間。ニュージーランドのホキティカというところに決まったのですが、出発するのは夏休み。しかしニュージーランドは冬です。重たい荷物を抱え、江戸川区のホールに集まり出発式に参加しました。
準備段階に約1か月間がかかりました。このプログラムの任務は「江戸川区を代表として現地へ向かいいろいろなことを学んでそれを代表として他の生徒たちに伝える」というものでしたので、そのための下準備もかなりの時間をかけていました。中学3年生で参加した娘は「ニュージーランド団」の中でも下っ端です。みんなの足手まといにならずにがんばっておいでという気持ちでした。
区民ホールからバスに乗り込み空港に向かう娘の後ろ姿を見ながら「大きくなったな」と思いました。また12日間娘が家を空けるのは初めてのことです。しかも当時は携帯電話は持って行ってはいけないということになっていましたから、娘たちの情報は区のサイトでのアップデートのみとなりました。実際、それが一番良かったと思う点でもありました。自治体が行うプログラムで初めての海外一人参加というのはある意味で安心材料でもありました。
ニュージーランドでは、現地の高校で学校体験をさせていただきました。ホームステイ先は、子育てが終わったご夫婦のところで金曜日にはフィッシュアンドチップスを食べる習慣があるとか。
学校からは歩いて家まで戻っていたようです。また、ランチも準備していただいていて日本のお弁当とは違ってサンドウィッチ・フルーツ・チョコバーなどが入っていたと話していました。
ホームステイでは、国によって異なることも多いですが、共通して言えるのは、日本の「おもてなし」の心とは異なるということだと思います。ホストファミリーもこどもを迎え入れることに慣れている人が多く、お客様という扱いより、家族といった扱いになり、家によっては放っておかれているように思える場合もあるでしょう。
でも、私は、特別扱いをされるよりも普段の家族の中に入れてもらえるほうがいいと思います。実際に、普通の家庭を経験するために行くのですから。
娘が戻ってきたときには、楽しかったことや大変だったことなどいろんな話を聞かせてくれました。今まではあまり自信のない感じだった娘が、12日間同じ日本人でも年上の意識を持った若者とつながり、さらには日本語がまるで伝わらない環境の中で頑張ったことから多くのことを学んだように思い、わたしはやはり「かわいい娘に旅をさせてよかった」と心から思いました。